社労士事務所アソシエ通信2019年10月号-その他の話題

 事務所通信10月号で掲載していない話題をこちらでご覧いただけます。

目次

■求人票と労働条件の食い違いが減少

厚生労働省の発表によると、求人企業がハローワークに提出する求人票の内容と実際の労働条件が食い違っている件数が、6,811件(2018年度)となり、前年度から20%も減少したそうです。2014年が1万2,252件だったそうなので、ほぼ半減となっています。

◆食い違いの内容

食い違いの内訳をみると、多い順から「賃金」「就業時間」「職種・仕事の内容」となっており、産業別では多い順から「医療・福祉」「卸・小売り」「製造業」となっています。

◆改正職業安定法 2018年1月1日施行

このように食い違いが減少している理由のひとつに、職業安定法の改正(昨年1月の施行分)があるようです。ここでその内容を改めて確認しておきましょう。

(1) 労働条件変更の際の明示義務

(2) 求人票等による募集時の明示時効の追加

① 使用期間に関する事項

② 労働者を雇用しようとする者の氏名又は名称

③ 裁量労働制を採用する場合はその旨

④ いわゆる固定残業代を採用する場合の

・固定残業代算定基礎である労働時間数(固定残業時間)および金額

・固定残業代を除外した基本給の額

・固定残業時間を超える時間外労働、休日労働および深夜労働分についての割増賃金を追加で支払うこと

・労働者を派遣労働者として雇用しようとする場合はその旨

(3) 罰則等の強化(虚偽の条件によりハローワーク等で求人の申込みを行った場合や、自社のホームページ等でも労働条件の明示義務等に違反している場合について、罰則・指導監督の強化)

労働条件変更等の明示義務の具体例や求人票のサンプルなどは、厚生労働省のリーフレットが参考になります。人手不足は落ち着いたところも多いようですが、業種によってはまだまだ猫の手も借りたい場合も多いでしょうから、求人にまつわるトラブルは少しでも避けたいところですね。

【厚生労働省リーフレット】https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11600000-Shokugyouanteikyoku/0000171017_1.pdf

内定辞退率販売事件と個人情報保護法

大手就職情報サイト「リクナビ」等を運営する(株)リクルートキャリアが、自社サービスを利用している就職活動中の学生の「内定辞退率」をAIで予測し、そのデータを30社以上の企業に販売していたとして、法的・企業倫理的な問題となっています。

8月26日、個人情報保護委員会は、個人情報の保護に関する法律(以下「個人情報保護法」という)第20条が求める「安全管理措置」を適切に講じず、また同法第23条1項に規定されている「個人データを第三者に提供する際に必要な同意」を得ていなかったとして、同社に対し、委員会発足後初となる是正勧告を行いました。

また、東京労働局も9月6日、同社が職業安定法および指針に違反していたとして、すべての事業について同法違反がないか確認し、必要な是正や再発防止策を講じることなどを求める指導を行いました。

◆すべての事業者は「個人情報取扱事業者」

改正個人情報保護法(平成29年5月30日施行)により、規模の大小に関わらず、何らかの個人情報を取り扱う事業者には、同法が適用されています。自社従業員はもちろん、自社の採用活動への応募者や、自社サービスを利用する顧客の個人情報も、適正に取り扱わなければなりません。

◆個人情報保護委員会のQ&A

個人情報保護委員会では、個人情報の取扱いに関する、わかりやすいガイドラインやQ&Aを公表・更新しています。Q&Aの最新版では、

・防犯目的で、万引き・窃盗等の犯罪行為や迷惑行為に対象を限定した上で、顔認証システムを導入しようとする場合の注意点

・飲食店で、顧客からの予約を受付時に取得した個人情報の取扱い

・「貴社が保有する私の情報すべてを開示せよ」という請求があった場合の対応

など、興味深い論点が盛り込まれています。ほかにも、中小企業向けに抜粋した簡易版Q&Aなども公表されていますので、参考にしてはいかがでしょうか。

【個人情報保護委員会「「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン」及び「個人データの漏えい等の事案が発生した場合等の対応について」に関するQ&A」(令和元年6月7日更新)】https://www.ppc.go.jp/files/pdf/1906_APPI_QA.pdf

 

■シニア世代の就業・生活スタイルの動向~NRI社会情報システム調査

株式会社野村総合研究所のグループ会社であるNRI社会情報システム株式会社が、全国の55~79歳の2,000人を対象に、シニア世代の就業状況や働く意識、ライフスタイルや価値観などについてインターネット・アンケート調査を行い、その結果が公表されています。その調査結果において注目すべき内容を取り上げてまとめます。

◆就業実態

最も特徴的な点として、64歳までの男性の正社員の割合は50%以上を占めるのに対し、65歳以上になると正社員で働く割合が20%を切ることがあげられます。また、女性の場合でも、64歳までの正社員割合が、65歳以降では3分の1程度に減少しています。

◆今後の就業意識

現在就業中の65歳未満のシニア世代に何歳まで働きたいかとの質問では、現在正社員の方もパート・嘱託の方も平均して70歳頃まで働きたいと回答しています。
60歳未満の正社員に将来の働き方を尋ねると、約7割が60歳代前半までは正社員で、65歳を超えたらパートや嘱託など非正規での就業を望み、70歳以降はシルバー人材センターなどの臨時・短期の仕事や、インターネット上で受注する仕事などを求める割合が増える傾向にあるようです。

◆生活満足度

50歳代後半と60歳代後半の生活満足度を比較すると、就業状況以外のすべての項目で年齢とともに満足度が高くなる傾向がわかります。特に、家族や友人などの人間関係や趣味・娯楽、地域との関係などの満足度の上昇が目立ちます。
また、シニア世代が活用するSNSの中でもLINEが最も多く、ユーザーは非ユーザーに比べて満足度が高く、ICTを活用するシニア世代はコミュニケーションや情報収集の活発化を通して満足度が高い傾向があるようです。

65歳までの定年延長・再雇用は定着しつつありますが、それ以降の就業状況の満足度が低いことから、60歳代後半世代は満足する就業の場を得られていないことが推測されます。自分に合った多様な働き方を求めるシニア世代と、戦力を求める企業との間に温度差があることは否めませんが、この調査結果は企業のシニア活用を進めるうえで参考の一つとなり得るでしょう。
【株式会社野村総合研究所・NRI社会情報システム株式会社「NEWS RELEASE」】
https://www.nri.com/jp/news/newsrelease/lst/2019/cc/0829_1

 

■「老後2,000万円問題」で改めて退職金制度に注目?

◆若者の間で資産形成への関心高まる

人生100年時代を迎え、退職後の収入が公的年金だけでは、老後資金が2,000万円不足するという、いわゆる「老後2,000万円問題」が大きく取り上げられたことで、自分の老後のお金に関心を持つ若者が増え、証券会社の開催する投資セミナーに多くの人が集まっているそうです。

◆日本人の5割超が現在の資産や貯蓄に不満足?

内閣府が8月30日に公表した2019年度の「国民生活に関する世論調査」結果によれば、現在の資産や貯蓄について「不満」「やや不満」と答えた人の割合は計54.3%で、前年より2.1ポイント増えました。

一方、現在の所得や収入に「不満」「やや不満」は0.8ポイント減の計45.6%で、所得や収入については3年連続で「満足派」が「不満派」を上回る結果となっています。

内閣府政府広報室によると、資産や貯蓄に関する不満が高まった理由に、「老後2,000万円問題」が影響した可能性はあるということです。

◆個人型確定拠出年金の制度見直しで「安心」をアピール?

そうしたなか、厚生労働省の社会保障審議会企業年金・個人年金部会で検討された、個人型確定拠出年金(以下、「iDeCo」という)の制度見直し案にも関心が高まっています。

同部会では、すべての会社員がiDeCoに加入できるようにするとともに、現在の60歳から65歳へと加入可能年齢を引き上げる等の見直しを含む改正法案を、来年の通常国会に提出することを目指すとしています。

◆iDeCoを活用した退職金制度で、若者の採用・定着を目指す

公的年金の所得代替率が現役世代の5割程度となることを目標として公的年金制度が運用される以上、ビジネスパーソンが老後資産の形成のため何らかの自助努力をすることは、もはや不可欠です。

上記の制度見直しでは、iDeCoのみに限らず企業型確定拠出年金についても、企業の事務負担を軽減したり導入のハードルをより低くしたりする等が検討されています。

現在、従業員数300人以下の中小企業で一時金や年金のかたちで退職給付を支給する企業の割合が年々下がっていますので、こうした見直しを機に従業員の資産形成を支援する仕組みを導入し、若者に長く安定して働いてもらえる会社という魅力をアピールできるようにしてみてはいかがでしょうか。

 

■働く人の睡眠問題~睡眠不足は生産性を低下させる?

◆9月は健康増進普及月間

厚生労働省は、9月を「健康増進普及月間」と定め、生活習慣の改善の重要性について国民1人ひとりの理解を深め、さらにその健康づくりの実践を促進するためとして、啓発普及活動を全国的に行っています。

今年は「睡眠でしたがマに、「睡眠啓発イベント」も開催するようです。労働者の睡眠・休養の問題は、個人の健康のみならず、会社の生産性にも影響を与えるものとして無視できないものです。

◆日本人の睡眠時間は世界的にも短い

OECD(経済協力開発機構)による2018年の国際比較調査によれば、加盟国中、日本は最も睡眠時間が短いそうです。OECD平均が8時間25分である一方、日本は7時間22分と1時間も短いという結果となっています。

また、厚生労働省が2016年に公表した「国民健康・栄養調査」の結果では、1日の平均睡眠時間は、男女とも「6時間以上7時間未満」とする割合が最も多く、6時間未満という者の割合が年々増加していることが指摘されています。

◆睡眠不足によって生産性やメンタル異常を感じる人は80%以上

睡眠・体内時計ベンチャーの株式会社O:(オー)が、企業向け睡眠支援サービスO:SLEEPから取得した客観的睡眠データを元に行った日本人の睡眠時間の不足の実態調査によると、睡眠に対して不満を持っているのは全体の約7割で、睡眠不足による生産性の低下やメンタル異常を感じる人も、割合はいずれも全体の約85%という結果が出たそうです。

職場ぐるみの取組みが求められる

厚生労働省は、睡眠分野における国民の健康づくりのための取組みとして、「健康づくりのための睡眠指針」というものを策定しています。そのなかでも、睡眠不足による作業効率の低下が指摘されており、睡眠時間確保のための職場ぐるみの取組みが大切であると述べています。

最近では、社内に昼寝スペースを設けたり、睡眠に関する社内研修を実施したりするなど、「睡眠・休養」をテーマに生産性向上や働き方改革に取り組む企業も増えています。

忙しい職場ですぐに対策を講じることは難しいかもしれませんが、生産性の向上という観点から、睡眠・休養への取組みを検討してみてはいかがでしょうか。

 

■高齢者の労働災害が増加しています!改めて考えたい「高齢者が働きやすい職場づくり」

定年延長や、人手不足を背景として、働く高齢者が増えています。現在では、65歳以上の労働者は、労働力人口の12.8%を占めています。

このような状況にあって、働く高齢者の労働災害が問題となってきました。厚生労働省「労働災害発生状況」によれば、2018年に労災に遭った60歳以上の労働者は、前年比10.7%増の3万3,246人で、労災全体の4分の1を占めています。

◆高齢者の労災を防ぐためのカギは「転倒防止対策」

60歳以上の労働災害の中でも目立つのは転倒事故で、37.8%を占めます(全世代では転倒による労災事故は25%程度)。転倒防止対策が、高齢者の労働災害減少のカギとなるといえます。

転倒は、段差でつまずいたり、バランスを崩してしまったりすることにより起こります。特に高齢者の場合、下肢の筋肉の衰えが影響して、転倒しやすくなるものと考えられています。

また、年齢を重ねるとともに、視力や握力、バランス保持能力といった身体機能は低下しますが、こうした身体機能・認知機能の低下に気がつかず、自分では「できる」と過信して無理な動作をしてしまうことも、転倒の原因となります。

職場内の段差を極力なくす、通路を整頓して通行しやすくするといった対策を講じるとともに、実際の身体機能と本人の認識のズレを正すためのチェックを受けてもらうことも効果的といえるでしょう。

◆これからも増え続ける「働く高齢者」のために

政府は現在、「希望する人が70歳まで働ける機会の確保」を努力義務として企業に課す方針を打ち出しています。働く高齢者がますます増えることが想定される中、高齢者が安心して働くことのできる職場づくりが必要となります。

働く高齢者の労働災害を防ぐため、安全確保に取り組む中小企業を対象とした助成制度も新設される見込みです。この機会に、改めて、働く高齢者のための環境整備について考えてみませんか。

 

下請取引適正化に向けた取組みと「下請け駆け込み寺」への相談

中小企業庁では、下請取引の適正化に向けた取組みとして、平成28年9月に発表した「未来志向型の取引慣行に向けて」における3つの基本方針のもと、「価格決定方法の適正化」「コスト負担の適正化」「支払条件の改善」といった課題に重点をおいて、本来は親事業者が負担すべき費用等を下請事業者に押しつけることがないよう、継続的に徹底を図っているとしています。

これらの課題に対し、具体的には、親事業者に対する立入検査や、下請Gメンの活用による下請事業者に対するヒアリング調査の実施など、各種の施策を通じて下請取引の問題解決に努めています。今回は、その取組みの1つである、下請かけこみ寺についてご紹介します。

◆下請かけこみ寺とは?

下請取引の適正化を推進することを目的として、経済産業省 中小企業庁が全国48カ所に設置したものです。中小企業が抱える取引上の様々な悩み相談への対応や裁判外紛争解決手続(ADR)による迅速な解決を行っており、相談員や弁護士が、秘密厳守・相談無料で受けています。

◆下請かけこみ寺事業の実施状況(平成30年度)

平成30年度における「下請かけこみ寺」では、相談員による相談受付8,381件、弁護士による無料相談513件および裁判外紛争解決手続(ADR)の調停申立18件の案件に対応しています。

相談事例

「支払日を過ぎても代金を支払ってくれない」、

「原材料が高騰しているのに単価引き上げに応じてくれない」、

「発注元から棚卸し作業を手伝うよう要請された」、

「お客さんからキャンセルされたので部品が必要なくなったと言って返品された」、

「「歩引き」

と称して、代金から一定額を差し引かれた」、「長年取引をしていた発注元から突然取引を停止させられた」など様々ですが、特に、代金の未払い、次いで取引中止、代金の減額に関する相談が多くあるようです。

公益財団法人全国中小企業振興機関協会の下請かけこみ寺ホームページには、下請かけこみ寺活用事例が紹介されていますので、ぜひ参考にしてみるとよいでしょう。

【全国中小企業振興機関協会「下請かけこみ寺」】

http://www.zenkyo.or.jp/kakekomi/soudan.htm

 

テレワークは普及したのか?

◆テレワークを巡る動き

政府は2020年東京オリンピック・パラリンピック開催期間中の交通混雑緩和に向け、7月22日から9月6日の約1カ月間をテレワーク・デイズ2019実施期間と設定し、テレワークの一斉実施を呼びかけました。

今年は2,885団体が参加し、昨年の1,682団体を大きく上回りました。

多様な働き方を実現する働き方改革の切り札としても関心を集めているテレワーク制度ですが、労働者たちにテレワークという働き方は広まったのでしょうか。

株式会社ワークポートは、全国の転職希望者413人を対象にアンケート調査を行いました。

◆約90%がテレワーク経験なし

対象者に、「現在の会社(直近の会社)はテレワークを導入しているか」聞いたところ、「いいえ」と回答した人が68.8%、「わからない」が13.1%、「はい」が18.2%となり、テレワーク導入率の低さが明らかになりました。

また、「これまでにテレワークをしたことがあるか」という質問には、約90%が「いいえ」と回答しました。テレワークが普及したとはいえないのが実状のようです。

◆テレワークをしたいと回答した人は70%以上

一方、「テレワークをしたいと思うか」という質問では、「思う」「どちらかといえば思う」と回答した人は合わせて73.6%でした。理由としては、通勤時間をカットしてプライベートを充実させたいとの意見が多く挙げられました。

また、働き方の多様化を支持する意見も散見され、さまざまなライフスタイルに合った働き方を望む声が見られました。普及状況に対し、労働者からの希望が高いことがうかがえます。

◆テレワーク制度の可能性

今後、テレワークが広く普及することになれば、多くの人が感じている朝の通勤ストレスを大幅に解消することができ、また災害発生時の企業対応としても有効な手段となるでしょう。

テレワークを含めた柔軟な働き方が容認されることによって働き手の幅も広がると考えられ、今まで何らかの理由で働くことができなかった層に対し就業の機会を創出することが可能となります。

人材確保の点からも検討するべき制度だといえそうです。

【ワークポート「テレワーク」についての調査】

https://www.workport.co.jp/corporate/news/detail/693.html

 

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