社労士事務所アソシエ通信2019年12月号-その他の話題

 事務所通信12月号に掲載できなかったその他の話題をこちらでご紹介しております。

■社会人インターンシップをどう活用するか

活用する企業が増加

副業・兼業を認めたり、ギガワーカーやフリーランスで働く人を多用したり、企業の間でも柔軟な働き方を受け入れる動きが広がっています。そのような背景のもと、「社会人インターンシップ」を戦略的に活用する企業が増えています。
今回は、社会人インターンシップを企業としてどう考えるかをまとめます。

◆社会人インターンシップとは

インターンシップというと、学生向けをイメージされると思います。しかし最近では、既に本職を持っている方や、複数の職を持つ既卒の人材を対象にした社会人インターンシップを受け入れる企業が増えています。

社会人向けの場合は、給与を発生させることがほとんどです。勤務時間は、平日に本業を持っている人も多いため、平日の時間外や土日、テレワーク等で人材を募集しているケースもあります。期間も1日から数カ月、夏期(冬期)休暇中等、柔軟に設定しているケースが多いようです。職種も、企画、マーケティング、新事業立上げ、ディレクター、デザイナー、ライター等多岐にわたります。

◆企業の目的

企業側の目的としては、優秀な人材の確保や雇用のミスマッチ予防など、雇用調整的に活用する場合のほかに、イノベーションの創出や新事業の宣伝といった戦略的な使い方をする場合もあります。

◆働き手の目的

働き手にとってみても、本職の傍ら新キャリア形成をする準備、興味のある分野への職業体験、人脈拡大、刺激や収入の獲得といったメリットが多いのが特徴です。

社会人インターンシップの導入を考える場合

仕事は検索して探す時代です。インターンシップも多分に漏れず、専用の求人サイトが多数存在します。まずはそれらを研究することから始めてもよいでしょう。

そして、有期雇用や短時間雇用、アルバイトとどう違いを出すか、また、給与や各種届出規定等をどう設定するか、そして特に、求人・募集をどこでするか……。
自社に合わせた、戦略的なインターンシップ制度を活用するとよいでしょう。

 

■iDeCoなど企業年金の対象者拡大~社会保障審議会で検討

厚生労働省は、社会保障審議会で中小企業向け企業年金制度の拡大に向けての案を示し、大筋で了承されました。来年の通常国会に関連法案を提出する方針です。

見直し案は、将来的に公的年金の給付水準の目減りが避けられない中、私的年金の活用を促す狙いがあります。前回の部会では、企業年金・個人年金の加入可能要件を見直して加入可能年齢を引き上げるとともに、受給開始時期等を柔軟化すべきであることが確認されていました。

一方、企業年金・個人年金の現状を見ると、➀中小企業を中心にそもそも企業年金がない者がいる、②企業に企業年金があっても適用されていない者がいる、③iDeCoについて加入可能範囲が拡大されたが、企業型確定拠出年金の加入者がiDeCoに加入できるのは同時加入を認める規約の定め等がある企業に限られている、といった課題があります。これらを踏まえ、より多くの企業・個人が制度を利用できるよう制度面・手続面の改善を図るべきではないかと、以下のような案が示されました。

◆中小企業向け制度の対象範囲の拡大

企業年金の導入率の低下は300人未満の企業で著しいことから、中小企業向けに設立手続を簡素化した「 簡易型DC 」や、企業年金の実施が困難な中小企業がiDeCoに加入する従業員の掛金に追加で事業主掛金を拠出することができる「中小事業主掛金納付制度 (iDeCoプラス」)」について、制度を導入可能な事業主の対象範囲を現行の100人以下から300 人以下に拡大する。

◆企業型DC加入者のiDeCo加入の要件緩和

企業型DC加入者がiDeCoに加入できるのは、現行は労使合意に基づく規約の定めがあって事業主掛金の上限を引き下げた企業に限られているが、これを改め、規約の定めや事業主掛金の上限の引下げがなくても、iDeCoに加入できるように改善する。これにより、希望者全員がiDeCoに加入できるようになる。

iDeCoに係るその他の改善

・企業型DC加入者のマッチング拠出とiDeCo加入の選択……マッチング拠出を導入している企業の企業型DC加入者は 、 マッチング拠出か iDeCo 加入かを加入者ごとに選択できることとする。

・iDeCoの加入申込み……iDeCoの加入申込みや変更について、現行は紙による手続となっているが、オンラインで行うことを可能にするなど、各種手続面の改善をできる限り速やかに実現する。

◆確定拠出年金における中途引き出しの改善

例外的に認められている中途引き出し(脱退一時金の受給)について、外国籍人材が帰国するときは、制度に加入できず年金資産を積み増すことはできなくなることから、通算の掛金拠出期間が短いこと等の他の要件を満たせば、中途引き出しを認める。

 

■若手が求めるやりがいとパワハラ防止へのコミュニケーションの重要性

若手のやりがい、求められるコミュニケーション

マンパワーグループが行った、入社2年目までの若手正社員(22~27歳)を対象とした調査によると、仕事に「やりがいを感じている」割合は約70%だということです。やりがいの中身(複数回答可)では、上位から順に「仕事の成果を認められる」が37.6%、「仕事をやり遂げる」が34.7%、「自分の成長を感じる」が34.7%、「新しい仕事にチャレンジする」が33.2%、「お礼や感謝の言葉をもらう」が31.4%となっています。

また、若手正社員が取り入れてほしいと考える勤務制度への回答では、多いほうから順に「フレックス制」36.8%、「在宅勤務」33.3%、「モバイルワーク」30.8%が目立つ一方、「ない」との回答も37.5%ありました。

上記の結果を「コミュニケーション」という視点から見ると、認められたい・コミュニケーションをとりたいという希望がある一方、勤務制度についてはコミュニケーションがとりづらい方法の希望があるようです。

◆コミュニケーションとパワハラ

パワハラの防止対策を企業に義務付けるパワハラ防止法の施行を来年6月(中小企業は2022年4月)に控え、現在、パワハラ防止ガイドランの素案が公表されており、年内には正式に決定・公表される見込みです。

パワハラ予防のためには、職場のリーダーは部下を指揮する一方、部下から必要な情報が上がってくるようにして適切なコントロール(指揮・統制)をしなければなりません。昔のようにリーダーからの一方的な指揮・統制では仕事は回らなくなっています。

つまり、部下の話を聞いてあげて、部下のほうからのコミュニケーションを増やすよう、意思疎通を良くしなければならないのです。例えば、業務時間中に部下の話を聞く機会を増やしたり、部下が考えて意見を言えるように質問型マネジメントをしたりする等が必要です。

実際、上記調査でもコミュニケーションがとりやすい社内ツールとして、メール(55.3%)、電話(50.0%)に次いで「対面」(48.0)%も回答が多くなっています。社内SNS等も発達してきていますが、やはり人間同士、電話・対面といったアナログなコミュニケーションも重要なのだと思われます。

◆中小企業もスケジュールは考えておく

パワハラ防止のカギはコミュニケーション、といってしまえば単純なようですが、管理職・一般社員への研修一つとってもポイントなる部分を押さえる必要がありますし、法施行日までにやることは他にもたくさんあります(就業規則改訂、相談窓口設置・担当者の決定、従業員アンケート…etc)。中小企業には多少猶予期間がありますが、今からスケジュールだけでも考えておく必要はあるでしょう。

 

■GビズID取得&電子申請で業務効率化をしませんか?

電子証明書がなくても電子申請ができるように

政府が進める行政手続のデジタル化のため、電子申請のシステムも機能アップや導入のハードルを下げるための取組みがされています。
その一環として、導入のハードルを下げるために経済産業省が今年2月にリリースしたのが、企業が電子申請で行政手続を行うためのシステムである「GビズID」です。

◆GビズIDの概要

これまで、電子申請には電子証明書やICカードの証明書を読み込むためのカードリーダー等、導入に費用がかかりました。さらには電子証明書の更新料、代表者変更による再度の取得といった手間が発生していましたが、こうした煩雑さが解消されています。

3種類のGビズIDのうち、企業が利用する「GビズIDプライム」は従業員をメンバーとして登録できるので、法人として取得すれば複数取得する必要もありません。

ログインするための認証もID/パスワードに加えてスマートフォンによる指紋認証など多段階認証により行うので、セキュリティ上も厳しく管理されます。

◆GビズID取得の流れ

取得の際は、申請書に法人番号や所在地、代表者名等の基本情報、利用者の氏名やメールアドレス等を記載して、印鑑証明書等の添付書類と一緒にGビズID運用センターに郵送で提出します。書類に不備がなければ、2週間程度で審査完了通知がメールで届きます。

◆取得のメリット

電子申請導入により、役所へ出向く時間を他の業務に充てることができ、提出のための各種書類のプリントアウト等、紙による業務を行わなくても済むほか、データ保存用にCD-ROM等を購入するといったコストの削減もできます。

さらに、一部の手続きで実装されている届書の自動チェック機能により、記入漏れや記入誤り等のミス、また書類返戻による手続きの遅れといった不備をなくすこともできます。

委任登録によりこれまでどおり社会保険労務士等に業務委託も可能

GビズIDを取得したら自社で手続きを行わなければならないということはなく、委任登録を行えば、これまでどおり社会保険労務士や税理士等の専門家のチェックを経て申請を行うことができます。

管理部門の業務効率化として、検討してみてはいかがでしょうか。
【事業主の皆さまへ、電子申請のご案内】
https://www.mhlw.go.jp/content/000561645.pdf
【GビズID よくある質問】
https://gbiz-id.go.jp/top/faq/faq.html
【GビズID接続システム向けマニュアル】
https://gbiz-id.go.jp/top/manual/pdf/Developer_guideline_Ver1.0.pdf

 

■リカレント教育推進の動き

◆“リカレント教育”とは

終身雇用という考え方が薄れつつある昨今、個人としての市場価値が重要視されており、リカレント教育が注目されています。リカレント教育とは、生涯にわたって教育と就労のサイクルを繰り返す教育制度のことです。日本ではより広く解釈されており、働きながら学ぶ場合、心の豊かさや生きがいのために学ぶ場合、学校以外の場で学ぶ場合も含む言葉として使われています。働いてからも、必要と感じたタイミングで学び直すため、「学び直し教育」「社会人の学び直し」とも呼ばれています。学び直す本人にとっては、新しいスキルや知識を身につけることで、キャリアアップや転職時に活かすことができます。

◆政府による推進の動き

政府もリカレント教育を推進しています。厚生労働省による「人生100年時代構想会議」では、「人づくり革命基本構想」がまとめられ、その中の一つとしてリカレント教育が掲げられました。また、文部科学省もリカレント教育へのニーズの高まりを受けて、充実した学習コースの開設や、受講しやすい環境整備(短期間で修了可能、受講費用の負担軽減)などによって推進していくとしています。

◆企業のメリット

企業側にはどのようなメリットがあるのでしょうか。まず、従業員が新たなスキル・知識を身につけて自社に戻ることで、それらを業務に役立てることができます。就学先で新たに得られた人脈を活かすこともできます。そして、このような機会を従業員に提供して従業員のキャリアアップを手伝う姿勢を持ち続けることで、従業員の定着率やエンゲージメントを向上させていくことができます。

自社のことをよく知る従業員が、スキル・知識をアップデートし続け、長期に渡って企業に貢献してくれる状態を保つことは、企業にとってもメリットといえるでしょう。

◆リカレント教育推進のために企業ができること

 企業が推進する方法としては、例えば、費用の一部補助、リカレント教育のための休暇制度や、一度退職した場合の再雇用制度の導入などが考えられます。働きながら教育を受けるために、柔軟な働き方を推進することも有効でしょう。

また、リカレント教育で活用できる給付金・助成金があります。本人が活用できる「教育訓練給付金」と、企業が活用したい「人材開発支援助成金 教育訓練休暇付与コース」です。後者は、教育訓練休暇制度を新たに導入し、従業員がその休暇を取得して訓練を受けた場合、助成金を受け取ることができます。何日間の休暇を規定するかで、「教育訓練休暇制度」「長期教育訓練休暇制度」に分けられ、助成金額も変わります。詳しい要件や申請方法については厚生労働省のホームページをご覧ください。

【厚生労働省「人生100年時代」に向けて」】https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000207430.html

 

■マイナンバーカードで旧姓併記が可能に、企業への影響は?

◆住民票、マイナンバーで旧姓併記開始

改正住民基本台帳法施行令等の施行により、11月5日から、住民票、マイナンバーカード、印鑑登録証明書、公的個人認証サービスの署名用電子証明書等に、旧姓・旧氏(きゅううじ。戸籍上、過去に記載・記録された氏のこと。以下「旧姓」で統一します)を併記することが可能になりました。

数年前から内閣府・男女共同参画局「女性活躍加速のための重点方針2016」等に盛り込まれていた政府方針が、実現したかたちです。

旧姓併記により、結婚等により姓が変わった人は、さまざまな本人確認のシーン(契約、銀行口座名義、就職・転職時……)で、証明に旧姓を用いることもできます。

◆併記の手続き

旧姓併記の希望者は、旧姓が記載されている戸籍謄本等を用意し、マイナンバーカード(通知カード)を市区町村役場に提出します。

まだマイナンバーカードを作成していない人であれば、「山田[佐藤]花子」というように、姓と名の間にカッコ書きで旧姓が併記されたカードが交付されます。

◆企業に職場の旧姓使用を認める義務はあるか

職場で旧姓を使用することについて争った裁判(日本大学第三中学・高校事件、東京地判平28・10・11)では、企業は旧姓使用を認めるよう配慮することが望ましいとしつつ、旧姓使用を認めないことは違法ではない、とされました。企業は、旧姓使用を認めなければならない法的義務までは負っていないものの、むしろ積極的に旧姓使用を認めることが有効といわれています。

◆旧姓は「使い分け」から「併記」の時代へ?

今回の旧姓併記は、主に女性が結婚後も旧姓を広く使いやすくすることを目的としたものといえます。企業実務においては、従業員の姓をシーンによって使い分けるのは珍しいことではありません(労働社保など雇用管理上の事務処理は戸籍上の姓で行い、対顧客等には広く認知されている旧姓を用いるなど)が、いずれは「使い分け」ではなく「併記」をすることが主流となるかもしれません。

【総務省「住民票、マイナンバーカード等への旧氏の記載等について」】

http://www.soumu.go.jp/main_content/000614623.pdf

 

■男性国家公務員の育児休業取得期間 原則「1か月以上」へ

◆育児休業取得率は2割超だが取得期間は?

政府は、男性国家公務員の育児休業を原則1か月以上取得するよう促す方針で検討していることを明らかにしました。

人事院によると、昨年度の男性国家公務員(一般職)の新規育児休業取得者は1,350人で、取得率は、21.6%(前年比3.5ポイント増)と初めて20%を超えました。政府はこれまでに男性職員の育児休業等取得促進ハンドブック「イクメンパスポート」の配布や啓発ポスターを作成し、取得促進を図ってきました。また、育休取得について上司と面談を行う際にはチェックシートを用いながら取得を促していました。

しかし、取得した期間は「1か月以下」が72.1%、次いで「1か月超3か月以内」が13.5%、「3か月超半年以内」が6.1%となりました。

こうした状況をふまえて育児休業を原則1か月以上取得するよう促し、取得しても業務に支障が出ないよう職場環境を整備し、人事評価にも反映させる方向で2020年度からの実施を検討しています。

◆民間企業の現状は?

政府は、この方針を国家公務員が率先して取り組むことで地方自治体や民間企業に浸透させたいと考えていますが、昨年度の民間企業の男性の育児休業取得率は6.16%(前年比1.02ポイント増)で、国家公務員とは約4倍の差があります。2020年までに政府目標として13%を掲げていますが、達成には及ばない状況です。なお、女性の取得率は82.2%(前年比1ポイント増)となっています。

また、2015年度の「雇用均等基本調査」(厚生労働省)によると、男性の育児休業取得期間は「1か月以下」が82.9%、次いで「1か月超3か月以内」が12.1%、「3か月超半年以内」が1.6%となっています。取得期間が「5日未満」の割合が56.9%という結果でした。

◆まずは取得促進から!

これらの統計を見ると、男性が1か月以上の育児休業を取得するということはハードルが高く感じられますが、まずは職場全体で育児休業を取得しやすい環境を作っていくことが必要です。男性国家公務員の育児休業取得がすすむのと並行して、民間企業にも浸透していくことが望まれます。

 

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