「職場において、職務上の地位や影響力に基づき、相手の人格や尊厳を侵害する言動を行うことにより、その人や周囲の人に身体的・精神的な苦痛を与え、その就業環境を悪化させること」
(財団法人21世紀職業財団定義より)
パワハラは上司からだけのものとは限りません。同じ職場の先輩社員や同僚などから受ける場合もあり、一緒に仕事をする仲間からのパワハラは、上司からのパワハラとはまた違った難しさがあります。
経営環境・職場環境の変化 |
・一人ひとりの業務量が過多となり、職場に余裕がない |
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労働者側の変化 |
・終身雇用、年功序列の崩壊で、一生勤めるわけではないという考え方 |
社会的認知度の向上 |
・男女雇用機会均等法によるセクハラ防止の規定 |
・解雇退職の強要
・大勢の前で叱る
・不可能な要求
・執拗な叱責
・仲間外れにする
・能力より低い仕事を与える
・私的な用事を頼む
・感情的な言動
・机をたたく
・大きな音を立てて物を置く
・自己都合退職の強要
など
・判断基準は、それが業務上必要な指導の範疇を超えた「嫌がらせ」の行為であるかどうか
・精神的な苦痛を与えるものはパワハラ
・働く意欲の低下、能力発揮を阻害する
・心の健康を害する
Aパワハラが企業に与える影響
・職場風土を悪くする、本人のみならず周りの士気が低下する
・時間と労力に大きなロスが生じる
・被害者の職場復帰へのサポートコスト
・加害者および企業への法的責任
など
パワハラの防止に向け雇用管理上必要な措置は、企業規模や職場の状況に関係なく講じる必要があります。働く人の人格や尊厳を尊重することは企業活動の大前提であるという認識は何よりも必要なことです。
そして働きやすい快適な職場環境を整えることは、働く人のためだけでなく企業の生産性の向上につながるものです。パワハラは、職場の人間関係のトラブルですが、単なる個人間の問題として捉えるのではなく、雇用管理、労務管理の課題として解決を図っていくことが重要です。
職場におけるパワハラと許さないこと、パワハラを行った者には厳しく対処することを方針として明確にし、これを就業規則等の文書に規定して、社内報、研修などにより社員に対して周知・啓発し、職場に定着させます。
相談を受け付ける窓口を明確にするとともに、社員が気軽に相談できる体制を整えることが必要です。また、担当者は誰でも安心して話ができる信頼されている人物にお願いをして窓口の信用を高めましょう。
相談者等のプライバシ−にも配慮が必要です。さらに相談や苦情を申し出たことにより不利益な取り扱いをしないことを明らかにして周知します。
管理職は、社員が職務に専念できるように良好な職場環境を確保できるように努めなければなりません。研修によってパワハラとして問題になる可能性がある行き過ぎた管理や教育的指導がないよう、徹底していく必要があります。
パワハラ防止には、「働きやすい職場環境の形成」を目指してさまざまな対策を講じていきます。
職場環境では、就業規則の服務規定や懲戒規定で厳しく律することや、別途パワハラの規程を設けて全社員に向け説明、周知する必要があります。ハラスメントが起きる職場は、モラルも乱れています。新入社員研修をはじめとしてマナー研修を取り入れてモラルの向上を図ります。
その職場にあった改善方法がありますので、現状を確認した上で対策を講じることになります。
是非いちど当事務所にお問い合わせ下さい。
■マクドナルド
「パワハラで抑うつ状態に」-マクドナルド社員が提訴
上司からの度重なるパワーハラスメントや長時間労働のため抑うつ状態になり、自殺未遂まで追い込まれたとして、日本マクドナルド(東京)に勤務する40代の女性社員が31日、同社に慰謝料や残業代の未払い分など計約1085万円の支払いを求めて東京地裁に提訴した。
日本マクドナルドは「何回も話し合いをしてきたが、女性の要求は当社の見解と乖離(かいり)があり、受け入れ難い。提訴は残念だ。」としている。
訴状によると、女性は1991年に正社員として入社。
長女出産で産休と育休を取得、2011年5月に復職した。
異動部署で仕事が大幅に増え、同社は原則残業禁止のため自宅に持ち帰り仕事する日々が続いた。
女性は今後、労災も申請する考え。
日経新聞2013年6月1日記事より
■福井の新入社員自殺
パワハラ訴訟-会社側控訴
福井市の消火器販売会社の新入社員の男性(当時19)が自殺したのは上司のパワーハラスメントが原因だとして父親が損害賠償を求めた訴訟で、同社と当時の上司側は11日までに、約7200万円の支払いを命じた福井地裁判決を不服として控訴した。
同社側の代理人弁護士は「会社側の言動は職務に必要な指導の範囲内でパワハラとはいえず、自殺との因果関係も認められない」としている。
日経新聞2014年12月12日記事
パワハラ訴訟-原告側も控訴
福井市の消火器販売会社に入社した男性が自殺したのは上司のパワーハラスメントが原因として父親が当時の上司と会社に損害賠償を求めた訴訟で、原告側は16日までに、約7200万円の支払いを命じた福井地裁判決を不服として名古屋高裁金沢支部に控訴した。
被告側の上司と会社も一審判決を不服として控訴している。
日経新聞2014年12月16日記事