【労災保険】特別加入制度のしおり

【労災保険】特別加入制度のしおり

厚生労働省が発行している『労災保険 特別加入制度のしおり』を掲載しております。事務組合に関するお問い合わせやお申込みについては、社労士事務所アソシエへご相談ください。

はじめに

労災保険は、本来、労働者の業務または通勤による災害に対して保険給付を行う制度ですが、労働者以外でも、その業務の実情、災害の発生状況などからみて、特に労働者に準じて保護することが適当であると認められる一定の方には特別に任意加入を認めています。これが、特別加入制度です。

 

このパンフレットは、一人親方等の特別加入について、その加入者の範囲、加入手続、加入時健康診断、業務災害・複数業務要因災害・通勤災害の認定基準(保険給付の対象となる災害の範囲)などに関して、特に注意していただきたい事項を説明しています。
特別加入を希望する方はもちろん、すでに加入されている方もご一読いただき、特別加入制度についてご理解いただきますようお願いいたします。

 

※このページは、令和4年7月発行版を掲載した内容になります。完全に再現したものではございません。

 

 

2

1 特別加入者の範囲

労働者を使用しないで次の@〜Jの事業を行うことを常態とする一人親方その他の自営業者およびその事業に従事する人(以下「一人親方等」といいます。)が特別加入できます。

 

@ 自動車を使用して行う旅客若しくは貨物の運送の事業又は原動機付自転車若しくは自転車を使用して行う貨物の運送の事業(個人タクシー業者や個人貨物運送業者など)
(注)詳細については、表1を参考にしてください。
A 土木、建築その他の工作物の建設、改造、保存、原状回復(注)、修理、変更、 破壊もしくは、解体またはその準備の事業(大工、左官、とび職人など)
(注)除染を目的として行う高圧水による工作物の洗浄や側溝にたまった堆積物の除去などの原状回復の事業も含みます。
B 漁船による水産動植物の採捕の事業(Fに該当する事業を除きます)
C 林業の事業
D 医薬品の配置販売(医薬品医療機器等法第30条の許可を受けて行う医薬品の配置販売業)の事業
E 再生利用の目的となる廃棄物などの収集、運搬、選別、解体などの事業
F 船員法第1条に規定する船員が行う事業
G 柔道整復師法第2条に規定する柔道整復師が行う事業
H  改正高年齢者雇用安定法第10条の2第2項に規定する創B支援等措置に基づき、同項第1号に規定する委託契約その他の契約に基づいて高年齢者が新たに開始する事B又は同項第2号に規定する社会貢献事Bに係る委託契約その他の契約に基づいて高年齢者が行う事業
I あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律に基づくあん摩マツサージ指圧師、はり師又はきゆう師が行う事業
J 歯科技工士法第2条に規定する歯科技工士が行う事業

 

表1 自動車を使用して行う旅客または貨物の運送の事業一覧表

(注)労働者を使用する場合であっても、労働者を使用する日の合計が1年間に100日に満たないときには、一人親方等として特別加入することができます。

 

2 特別加入の手続き

一人親方等の特別加入については、一人親方等の団体(特別加入団体)(注)を事業主、一人親方等を労働者とみなして労災保険の適用を行います。
特別加入の手続きは、都道府県労働局長の承認を受けた特別加入団体が行うことになっています。

 

(1)新たに特別加入団体をつくって申請する場合

提出するもの:特別加入申請書(一人親方等)
提出先:所轄の労働基準監督署長(以下「監督署長」)を経由して所轄の都道府県労働局長(以下「労働局長」)

 

特別加入申請書(以下「申請書」)には、特別加入を希望する人の業務の具体的な内容、業務歴および希望する給付基礎日額などを記入する必要があります。

 

(注)特別加入団体の要件

@  一人親方等の相当数を構成員とする単一団体であること。
A  その団体が法人であるかどうかは問いませんが、構成員の範囲、構成員である地位の得喪の手続きなどが明確であること。その他団体の組織、運営方法などが整備されていること。
B その団体の定款などに規定された事業内容からみて労働保険事務を確実に処理する能力があると認められること
C その団体の地区が、団体の主たる事務所の所在地を中心として、別表(※)に定める区域に相当する区域を超えないものであること。
D  その団体の地区が、団体の主たる事務所の所在地を中心として、別表※に定める区域に相当する区域を超えないものであること。
※災害防止について、一定の要件を満たした場合、区域を超えて事務処理を行うことができます。詳しくは都道府県労働局へお問い合わせください。

※申請書の記入については、16ページの記入例を参考にしてください。
※給付基礎日額については、9ページを参照してください。
申請書には、「一人親方等の団体における定款、規約などの目的、組織、運営などを明らかにする書類」と「業務災害の防止に関して一人親方等の団体が講ずべき措置および一人親方等が守るべき事項を定めた書類」を添付しなければなりません。ただし、船員法第1条に規定する船員が行う事業の団体については、業務災害の防止に関する書類の添付は必要ありません。

 

特別加入の申請に対する労働局長の承認は、申請の日の翌日から30日以内で申請者が加入を希望する日となります。

 

4

 

 

5

 

(2)すでに特別加入を承認されている団体を通じて加入する場合

 

特別加入団体として承認されている団体に申し込んでください。加入手続きはその団体が行います。
※お近くの特別加入団体については、都道府県労働局または労働基準監督署にお問い合わせください。

 

団体が提出するもの :特別加入に関する変更届(中小事業主等及び一人親方等)
提出先:監督署長を経由して労働局長

 

特別加入団体は、以下の場合には特別加入に関する変更届(以下「変更届」といいます。)を提出することになっています。

@ 特別加入を承認されている人の氏名、業務内容などに変更があった場合
A 新たに一人親方等として特別加入を希望する人がいる場合
B すでに特別加入を承認されている人の一部が特別加入者としての要件にあてはまらなくなった場合

変更届の記入については、17ページの記入例を参考にしてください。
Aの場合は、「特別加入者の異動(新たに特別加入者になった者)」欄に必要な事項を記入します。
Bの場合には、「特別加入者の異動(特別加入者でなくなった者)」欄に必要な事項を記入します。
(ご注意)
業務災害または通勤災害が発生した後に変更届を提出されても、すでに発生した災害の給付には反映されません。

 

◎除染作業を行う場合◎
一人親方等として特別加入している方が、東日本大震災の復旧・復興のため、新たに除染の業務に就く場合には、業務内容に変更があった旨の届出が必要です。
なお、除染作業を行う一人親方等の所属する特別加入団体は、迅速・適正な労災補償を行うため、労働者と同様の被ばく線量管理をしていただくようお願いします。

 

※新たに特別加入を希望する方の本人確認の徹底について
特別加入団体は、4ページの(1)又は本ページの(2)Aの手続を行う場合、特別加入を希望する方に、原則として顔写真付きの身分証明書(顔写真付きでない場合には、2点以上が必要)の提示を求めて本人確認を行い、その写しまたは番号を控えた上で、「特別加入申請に係る本人確認済証明書」を、申請書又は変更届に添付しなければなりません。
ただし、以下のいずれかに該当する場合は、「特別加入申請に係る本人確認済証明書」の添付は必要ありません。
i 特別加入団体における労働保険事務を労働保険事務組合又は社会保険労務士に委託している場合(特別加入団体が労働保険事務組合を兼ねている場合を含む)
ii 申請書類裏面の「社会保険労務士記載欄」に社会保険労務士の署名がある場合
※ 電子申請システムにより手続を行う場合は、「社会保険労務士入力欄」に社会保険労務士の署名がある場合
「特別加入申請に係る本人確認済証明書」は、
厚生労働省ホームページからダウンロードできます。 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/ roudoukijun/rousai/kanyu.html

 

6

3 加入時健康診断

(1)加入時健康診断が必要な場合

 

表2に記載されている業務に、それぞれ定められた期間従事したことがある場合には、特別加入の申請を行う際に健康診断を受ける必要があります。

 

表2加入時健康診断が必要な業務の種類

 

特別加入予定者の
業務の種類

特別加入前に左記の業務に従事した期間
(通算期間)

必要な健康診断
粉じん作業を行う業務 3年以上 じん肺健康診断
振動工具使用の業務 1年以上 振動障害健康診断
鉛業務 6か月以上 鉛中毒健康診断
有機溶剤業務 6か月以上 有機溶剤中毒健康診断

 

(2)手続き方法

<手続きの流れ>

@「特別加入時健康診断申出書」(以下「申出書」といいます。)を特別加入団体を通じて監督署長に提出。

※申出書の記入については、18ページの記入例を参考にしてください。

 

A申出書の業務歴から判断して加入時健康診断が必要であると認められる場合、監督署長は「特別加入健康診断指示書」(以下「指示書」といいます。)および「特別加入時健康診断実施依頼書」(以下「依頼書」といいます。)を交付。

 

B指示書に記載された期間内に、あらかじめ労働局長が委託している診断実施機関の中から選んで加入時健康診断を受診。依頼書は診断実施機関に提出。

※お近くの診断実施機関については都道府県労働局または労働基準監督署にお問い合わせください。
※加入時健康診断の費用は国が負担しますが、交通費は自己負担となります。

 

7

 

C診断実施機関が作成した「健康診断証明書(特別加入用)」を申請書または変更届に添付し、監督署長に提出。

 

※じん肺健康診断を受けた場合には、じん肺の所見がないと認められた場合を除き、健康診断証明書にエックス線写真を添付する必要があります。
(ご注意)
健康診断証明書を提出しなかったり、業務の内容や業務歴などについて虚偽の申告をした場合には、特別加入の申請が承認されない、または、保険給付が受けられないことがあります。

 

(3)特別加入が制限される場合

加入時健康診断の結果が次のような場合には、特別加入が制限されます。

ア 特別加入予定者がすでに疾病にかかっていて、その症状または障害の程度が一般的に就業することが難しく、療養に専念しなければならないと認められる場合には、従事する業務の内容にかかわらず特別加入は認められません。
イ 特別加入予定者がすでに疾病にかかっていて、その症状または障害の程度が特定の業務からの転換を必要とすると認められる場合には、特定業務以外の業務についてのみ特別加入が認められることとなります。

 

(4)保険給付を受けられない場合

特別加入前に疾病が発症、または加入前の原因により発症したと認められる場合には、特別加入者としての保険給付を受けられないことがあります。

 

 特別加入者に関する業務上の災害及び二以上の事業の業務を要因とする災害として保険給付の対象となる疾病は、特別加入者としての業務を遂行する過程において、その業務に起因して発症したことが明らかな疾病に限定されます。特別加入前に発症した疾病や特別加入前の事由により発症した疾病に関しては、保険給付の対象となりません。
 したがって、加入時健康診断の結果、疾病の症状または障害の程度が、特別加入についての制限を行う必要のない程度であった場合であっても、加入時点における疾病の程度および加入後における有害因子へのばく露濃度、ばく露期間などからみて、加入前の業務に主たる要因があると認められる疾病については、保険給付は行われません。

4 業務災害の防止に関する措置

一人親方等の団体をつくる際は、あらかじめ業務災害の防止のための措置や一人親方等が守るべき事項を定めておかなければなりません。これらによって、自主的に業務災害防止に努めていただくことになります。

 

8

5 給付基礎日額・保険料

(1)給付基礎日額

 給付基礎日額とは、保険料や、休業(補償)給付などの給付額を算定する基礎となるもので、申請に基づいて、労働局長が決定します。給付基礎日額が低い場合は、保険料が安くなりますが、その分、休業(補償)給付などの給付額も少なくなりますので、十分ご留意の上、適正な額を申請してください。
 給付基礎日額を変更したい場合は、事前(3月2日〜3月31日)に「給付基礎日額変更申請書」を監督署長を経由して労働局長あて提出することによって、翌年度より変更
することができます。
 また、労働保険の年度更新期間中にも「給付基礎日額変更申請書」により当年度に適用される給付基礎日額の変更が可能です。
 ただし、災害発生前に申請することが前提になります。給付基礎日額変更申請書を提出する前に災害が発生している場合は、当年度の給付基礎日額変更は認められませんので、給付基礎日額の変更を検討されている方は、事前の手続きをお勧めします。

 

(2)保険料

 年間保険料は、保険料算定基礎額(給付基礎日額×365)にそれぞれの事業に定められた保険料率(表4参照)を乗じたものになります。
 なお、年度途中で、新たに特別加入者となった場合や特別加入者でなくなった場合には、その年度内の特別加入月数(1か月未満の端数があるときは、これを1か月とします)に応じた保険料算定基礎額により保険料を算出します。

 

9

6 補償の対象となる範囲

業務または通勤により災害を被った場合のうち、一定の要件を満たすときに労災保険から給付が行われます。

(1)業務災害

保険給付の対象となる災害は、加入者ごとに一定の業務を行っていた場合に限られています。
次に該当する場合に保険給付を受けることができます。

 

@ 個人タクシー業者、個人貨物運送業者

ア 免許などを受けた事業の範囲内において事業用自動車を運転する作業(運転補助作業 を含む)、貨物の積み卸し作業およびこれらに直接附帯する行為を行う場合
イ 原動機付自転車又は自転車を使用して行う貨物の運送の事業の範囲内において原動機付自転車 又は自転車を運転する作業、貨物の積卸作業及びこれに直接附帯する行為を行う場合
ウ 突発事故(台風、火災など)により予定外に緊急の出勤を行う場合

 

A 建設業の一人親方等

ア 請負契約に直接必要な行為を行う場合
イ 請負工事現場における作業およびこれに直接附帯する行為を行う場合
ウ 請負契約に基づくものであることが明らかな作業を自家内作業場において行う場合
エ 請負工事に関する機会や製品を運搬する作業(手工具類程度のものを携行して通勤する場合を除く)およびこれに直接附帯する行為を行う場合
オ 突発事故(台風、火災など)により予定外に緊急の出勤を行う場合

 

B漁船による自営漁業者

ア 水産動植物の採捕、これに直接必要な用船中の作業およびこれらに直接附帯する行為を行う場合
イ 最終の発地から漁船まで、または漁船から最初の着地までの間において行為を行う場合
ウ 突発事故により予定外に緊急の出勤を行う場合

 

C林業の一人親方等

ア 森林の中の作業地、木材の搬出のための作業路およびこれに前後する土場における作業並びにこれに直接附帯する行為を行う場合

 

10

 

イ 作業のための準備・後始末、機械等の保管、作業の打ち合せなどを通常行っている場所(自宅を除く場所で、以下「集合解散場所」という)における作業およびこれに直接附帯する行為を行う場合
ウ 集合解散場所と森林の中の作業地の間の移動およびこれに直接附帯する行為を行う場合
エ 作業に使用する大型の機械等を運搬する作業およびこれに直接附帯する行為を行う場合
オ 台風、火災などの突発事故による緊急用務のために作業地または集合解散場所に赴く場合

 

D医薬品の配置販売業者

住居を出た後の最初の用務先からその日の最後の用務先までの間に行う医薬品の配置販売業務(医薬品の仕入れを含む)およびこれに直接附帯する行為並びに医薬品の配置販売業務(医薬品の仕入れを含む)を行うために出張する場合(住居以外の施設における宿泊を伴う場合に限る)

 

E再生資源取扱業者

ア 再生資源を収集、運搬、選別、解体するなどの作業およびこれに直接附帯する行為を行う場合
イ 再生資源を収集、運搬するために行われるトラックなどの貨物運搬用車両などを運転または操作する作業およびこれらに直接附帯する行為を行う場合
ウ 台風、火災などの突発事故による緊急用務のために、再生資源の集積場所などに赴く場合

 

F船員法第1条に規定する船員

ア 船員法の適用のある船舶に乗り組んでいる場合(恣意的行為など積極的な私的行為を除く)
イ 突発事故(台風、火災など)により予定外に緊急の出勤を行う場合
ウ 下船後における旅客の乗降のための作業および、荷下ろしなどの作業または出荷のための作業など事業のためにする行為に直接附帯する作業についても、事業の性質に応じて業務遂行性が認められることがあります。

 

G柔道整復師法第2条に規定する柔道整復師

ア 柔道整復師法第2条に規定する柔道整復師が行う施術及びこれに直接附帯する行為
イ 作業のための準備・後始末、機械等の保管、事務作業等を通常行っている場所における作業及びこれに直接附帯する行為
ウ 突発事故(台風、火災等)等による予定外の緊急の出勤途上

 

H創業支援等措置に基づく高年齢者

ア 改正高年齢者雇用安定法第10条の2第2項に規定する創業支援等措置に基づく事業の遂行に係る作業及びこれに直接附帯する行為
イ 作業のための準備・後始末、事務作業等を通常行っている場所における作業及びこれに直接附帯する行為
ウ 突発事故(台風、火災等)等による予定外の緊急の出勤途上

 

11

 

Iあん摩マツサージ指圧師、はり師、きゅう師

ア あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師が行う施術及びこれに直接附帯する行為
イ 作業のための準備・後始末、機械等の保管、事務作業等を通常行っている場所における作業及びこれに直接附帯する行為
ウ 突発事故(台風、火災等)等による予定外の緊急の出勤途上

 

I歯科技工士法第2条に規定する歯科技工士

ア 歯科技工士法第2条に規定する歯科技工士が行う歯科技工及びこれに直接附帯する行為
イ 作業のための準備・後始末、機械等の保管、事務作業等を通常行っている場所における作業及びこれに直接附帯する行為
ウ 突発事故(台風、火災等)等による予定外の緊急の出勤途上

 

(2)複数業務要因災害

事業主が同一でない二以上の事業における業務を要因とする傷病等が発生した場合であって、要件を満たしていれば、労働者と同様に保険給付が行われます。

※詳細については、厚生労働省のホームページに掲載しています。
「複数事業労働者への労災保険給付わかりやすい解説」
https://www.mhlw.go.jp/content/000662505.pdf

 

 

(3)通勤災害

通勤災害については、一般の労働者の場合と同様に取り扱われます。

ただし、上記のうち次の一人親方等については、通勤災害の保護の対象となっていません。

@ 個人タクシー業者、個人貨物運送業者
B 漁船による自営漁業者

〔労災保険法上の通勤とは〕
「通勤災害」とは、通勤により被った負傷、疾病、障害または死亡をいいます。 この場合の「通勤」とは、就業に関し、@住居と就業の場所との間の往復 A就業の場所から他の就業の場所への移動 B赴任先住居と帰省先住居との間の移動を、合理的な経路および方法により行うことをいい、業務の性質を有するものを除くものとしています。これらの移動の経路を逸脱・中断した場合は、その逸脱・中断の間およびその後の移動は通勤となりません。ただし、その逸脱・中断が、日常生活上必要な行為であって日用品の購入などをやむを得ない事由により最小限度の範囲で行う場合は、合理的な経路に戻った後の移動は「通勤」となります。

 

12

7 保険給付・特別支給金の種類

特別加入者が業務または通勤により被災した場合には、所定の保険給付が行われるとともに、これと併せて特別支給金が支給されます。

特別加入者に対する保険給付および特別支給金の種類は、表5のとおりです。

 

表5 保険給付・特別支給金一覧表

 

13

 


(注1)「保険給付の種類」欄の上段は業務災害、中段は複数業務要因災害、下段は通勤災害に対して支給される保険給付の名称です。
(注2)原則、給付の範囲は健康保険に準拠しています。
(注3)休業(補償)等給付については、特別加入者の場合、所得喪失の有無にかかわらず、療養のため補償の対象とされている範囲(業務遂行性が認められる範囲)の業務または作業について全部労働不能であることが必要となっています。全部労働不能とは、入院中または自宅就床加療中もしくは通院加療中であって、補償の対象とされている範囲(業務遂行性が認められる範囲)の業務または作業ができない状態をいいます。
(注4)遺族(補償)等年金の受給資格者である遺族が1人であり、55歳以上または一定の障害状態にある妻の場合には、給付基礎日額の175日分が支給されます。
(注5)表中の金額は、令和4 年7月1日現在のものです。
※船員保険の適用を受ける船員の方が、労災保険給付を受けたときには、船員保険の上乗せ給付がある保険給付について、全国健康保険協会に対し、上乗せ給付の請求を行うことができます。

 

14

8 支給制限

特別加入者が業務または通勤により被災した場合には保険給付が行われますが、その災害が特別加入者の故意または重大な過失によって発生した場合や保険料の滞納期間中に生じた場合には、支給制限(全部または一部)が行われることがあります。

 

9 特別加入者としての地位の消滅

(1)特別加入団体が脱退することにより消滅する場合

一人親方等の団体は、労働局長の承認を受けて脱退することができますが、この脱退の申請は、その団体の構成員全員を包括して行わなければなりません。この場合、その団体は、監督署長を経由して労働局長に「特別加入脱退申請書(中小事業主等及び一人親方等)」を提出し、承認を受けることが必要です。

 

特別加入の脱退申請に対する労働局長の承認は、脱退申請の日から30日以内で申請者が脱退を希望する日となります。

(注)一人親方等のうち、特定の人のみを脱退させる場合は、変更届(P17)を提出することが必要です。

 

(2)自動的に消滅する場合

ア 一人親方等が特別加入者としての要件を満たさなくなったときは、その日に特別加入者としての地位が消滅します。
イ 一人親方等が特別加入団体の構成員でなくなったときは、その日に特別加入者としての地位が消滅します。
ウ 一人親方等の団体が解散したときは、その解散の日の翌日に特別加入者としての地位が消滅します。

 

(3)特別加入団体の承認取消により消滅する場合

一人親方等の団体が関係法令の規定に違反した場合には、特別加入の承認が取り消される場合があります。

 

15

<様式記載例>

 

 

 

 

◇事務組合に関するお問い合わせやお申込みについては、当事務所へご相談ください。

業務依頼・お問い合わせはこちらへ